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カテゴリー 製品・サービスJanuary 29, 2010

iPadは「タブレットパソコン」ではない ID:1264705213 このエントリーを含むはてなブックマーク



さて、発表されましたね、iPad。

予想通り、iPhoneの体験をフルサイズのコンピューターへと持ってきました。

まぁ、大した予想ではないのですが、Mac OS Xベースだという噂も根強かった事を考えると、iPhone OSベース以外あり得ないと思っていた予想があたって本当に良かったです。

また、アプリケーションも、やはり全画面表示が基本のようで、「AppleはiPhoneのコンピューティング体験をフルサイズに持ってこようとしている」という私の推測は、間違っていませんでした。

あの発表を見て、「なんだか微妙だな」と思われた方は、こちらの公式ビデオを一度見てみると良いかもしれません。

http://www.apple.com/ipad/#video#video

さて、予想でも書いた通り、iPadは「タブレットパソコン」ではありません。それどころか「パソコン」ですらありません。

しかし、iPadへの反応を見ていると、まだまだ「なんでMacOS Xじゃないの」とか「これならHPのタブレットPCの方がいい」とかいう反応がちらほらと見えます。

こういう方は、ぶっちゃけて言うと、「まったくわかってない」んです。

何が分かってないかというと、「今のパソコンが、どんだけ使いにくいか」ってことが。

まぁ、その辺はどう説明しても、既に使いこなしている人には伝わらないでしょうから、ちょっとそこは置いといて、マウス操作を前提としている今のOSのUIを、タブレットで、しかも指で操作することのデメリットは、あまり理解されていないように思います。

端的に言うと、「今のUIは、ボタンが小さすぎる」のです。

マウスは、ある程度慣れれば、1ピクセル単位で任意の場所をポイントすることが可能でした。だから、画面上にはある程度の「押下可能な領域」を詰め込んでも、なんとか操作できたのです。

しかし、結果として画面上には大量の「押下可能領域」が存在することになり、さらにそれを「マルチウィンドウ」が後押ししました。

「たくさんの押下可能領域」「マルチウィンドウ」は、すなわち「選択肢の多さ」を意味します。次に何をすべきか良く分かっている人にとっては、これらは問題ありません。一足飛びに次の最適な動作へと移れる分、大量の選択肢はむしろメリットとなります。

しかしこれは、コンピュータをそれほど毎日使っていない、パソコンに不慣れな人間にとっては、「お手上げ」の状態なのです。

AppleはMacOS Xで、なるべく大きなアイコン、メニューやUIのシンプル化を図ってこれを解決しようとしているように見えます。しかし、既にある程度「共通認識」となってしまったこれまでのパソコンの文化、コンテキストは、そう簡単には変える事ができません。

では、どうすればいいのか?

その答えが、iPhone OSなのです。

このブログでも何度も書いていますが、iPhone OSではまず「マルチウィンドウ」の概念を無くしました。もちろん、マルチタスクの概念も同時に無くしています。

これにより、画面には常に一つのアプリケーションしか存在せず、しかも全画面表示されるようになりました。

これで一つ、画面から「複雑さ」が消えます。

そして、アプリケーションから「メニューバー」というUIを消しました。メニューバーに小さなテキストの塊を大量に突っ込むだけのUIは、指で操作するには辛すぎます。これにより、アプリケーションは「安易なUI」の手段を失い、メニューに全ての操作を並べるのではなく、現在の文脈によって最適なUI「のみ」をユーザーに提供するしかなくなりました。

画面上に表示される「押下可能領域」は極力少なく、そして一つ一つが指で押しやすく、大きくなりました。

考えてみればこれは当たり前のことです。
ユーザーにとって、少ない選択肢、大きくて押しやすいボタン、というのは、パソコン以外の製品ではむしろ当たり前の考え方なはずです。

しかし、過去にWindows MobileなどのタブレットPCがやったのは、上記とは正反対のことでした。UIは基本的に全部通常のWindowsを踏襲し、細いウィンドウ・タイトルバーを小さなペン先で慎重にドラッグし、メニューバーの中の小さなテキストを注意深くタッチするという、まるで曲芸師のような事をユーザーに要求していました。

これは、既存のアプリケーションとの互換性を保つためにも仕方なかったのかもしれません。そしてそれはMac OS Xでも同じだったのでしょう。

Appleは恐らく考えたのだと思います。「コンピュータをより使いやすくするために、まったく新しいUIを持つOSを作る必要がある」と。

その最初の製品が、たまたま「iPhone」だっただけであり、Appleは当時からこのUIを持つiPhone OSを、フルサイズのPC、つまりiPadにまで持ってこようとしていたのだろうと、私は考えています。

ですから、iPadは「パソコン」ではないのです。または、これこそが次の「パソコン」であり、これまでのパソコンはもうすぐ「昔の」とか「複雑な」という意味で「フルスペックの」というような表現を用いられるようになるのではないかと思います。

とはいえ、今回発表されたiPadは、正直に言って、あまりにも「ストレート」でした。コンピュータを使いなれていない層をターゲットにしているにもかかわらず、それらに訴求するような「仕掛け」が、iBooksしかないのは、少々弱すぎる気がします。

なので、一般層への普及は「じわじわと」行われるのではないでしょうか。しかし、ある一定数を超えた時に、爆発的に普及していくように思います。

前回のブログのコメントに書いたように、私は今回のiPadの発表で、AppleTVとの連携が発表されればいいのに、と思っていました。

iPadやiPhone/iPod touchをAppleTVの「リモコン」として使えるような連携機能です。

AppleTVを通して「お茶の間のTV」に、ビデオやニュースなどを呼び出し、家族や友達と一緒に視聴するのです。そしてその時、各自が手元に「自分のリモコン」を持ち、そこには画面上に表示されている内容の付随情報・・例えばテレビの番組表であるとか、商品情報などです。

そして、手元の番組表から好きな番組を選択すると、TVの画面がパッと切り替わる・・・。同じように、録画操作なども、TVの画面を占有せず、手元の画面上で操作が可能になります。

「ねぇねぇ、今度ここ遊びに行かない?(と言いながら手元のiPhoneのテーマパークの情報をタップすると、TV上にそれが表示される)」
「へぇー、いいね(と言いながら手元のiPadの「TV Sync」アプリを起動すると、手元に同じ情報が表示される。そのまま宿泊先を調べる)。このホテルが良さそうだよ(といってホテル情報をタップ。TVがホテル情報に切り替わる)」

そんな感じの、TVを中心としたコミュニケーションが、iPad/iPhone/iPod touchとAppleTVの連携で可能になったら楽しいのにな・・・と思っています。

そして、こういう機能は、(Wiiが狙ってある程度成功しているように)一般ユーザーに強く訴求すると思います。

今回、こういった「仕掛け」は残念ながら無かった為、今すぐ爆発的な普及は難しいと思うのですが、Appleはある程度の台数が出て、準備が整ってから、上記のような「仕掛け」を打ってくるつもりなのかもしれません。

さあ、Appleがどういった「未来」を思い描いているか、楽しみじゃないですか?

ちなみに今回、iPadに「iWorks」というオフィスアプリケーションが提供されることが発表されましたが、これを「意外」と受け止めている人がいるようです。

私は、一般人に訴求するためには最終的にはオフィスアプリは必須と考えていたので、それほど意外ではありませんでしたが、このタイミングで出してきたのは少し驚きでした。もう少し普及してからかと思っていたので(優先度は低いのではないかと)。

しかし恐らくAppleは、「本気」で「パソコン」をつぶしにかかっているのです。最初のバージョンのiWorksは、まだまだ使いにくい所もあるのかもしれません。それはMac OS X版とは比べ物にならないほどチープなものかもしれません。しかし、おそらくそれは「オマケ」として意図されたものではなく、本気でiPadを使って「仕事」も行えるようなアプリケーションも作れるのだ、という、強い意思表示なのかもしれません。

【追記】
そうそう、あのiBooksの「本棚」のメタファ、見ました?
あれはかなり「うまい」なーと思いました。

本を「所有」することの喜びって、本棚にあるんだな、と再認識させられたからです。

iBook Storeで本を買う時、1冊だけで我慢できると思います?笑
たぶん、「この本棚をもっと、自分好みの本で埋めたい!」って思うんじゃないでしょうか?笑

電子ブックの普及で、表紙だとか背表紙だとかってものの価値は下がるのかなー(ブログに表紙がないように、内容だけが重要視されるようになる)と思っていたんですが、まだまだその価値は残っていきそうです。

AmazonでもiPad全機種の販売通知登録受付中!3G版も有り
— posted by chikura @ 04:00AM | LinkMe | Comment(3) | TrackBack(0)

上の記事に対するコメント(ツッコミ)です。

  • 全く同感です。
    私もホームユースを狙っていると思います。
    おそらくアプリケーションの開発が追いつかなかったのでしょうね。
    でも本体が発売される頃にはもう少し進んでいると思います。
    今まで思い付かなかったものが出てくるのが楽しみです。 — ひつじウシ HP @ 12:01PM 2010-01-29
    • > ひつじウシさん

      急がなければならないほど、ジョブズの体調が思わしくなかったのか、何か他に待てない理由があったのか・・・。

      ホントはそんなこと全然なくて、全ては予定通り、こうやって批判が出つくすのを待ってから「実はちゃあんと考えてありましたー!」的な展開だったりすると楽しいのですけども。笑 — chikura @ 03:12AM 2010-01-31
  • まったく同じ考えをしてる人が居て嬉しかったです。

    マルチタスクと称して、並べたがる人間ばかりでうんざりしてました。
    シングルウインドウとマルチタスクの違いを知らない人が多過ぎです。 — you @ 01:03AM 2010-05-21

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