そういう創造的な成果を出す事に対して、金銭的な報酬を与えることで動機付けを行う、とうやり方について、違和感を感じていたのです。
というのも、過去にそういうことを何度か試して、それが良い結果をもたらした事が一度もなかったからです(何度も試したということは、昔の私は「報酬を与える」方式の信奉者だったわけです)。
私の経験では、報酬は単なる払い損か、もしくは何か目に見えないマイナスの影響を及ぼしているように感じました。良いアイデアを出す人は、報酬に関係なく出すように見えたし、むしろ出すことによって妙な雰囲気が生まれていたように感じたからです。
しかし、人々のやる気を出す方法として、金銭的な報酬は手軽なものです。
なので私はずっと、その違和感が単なる勘違いか、もしくは何かちょっとやり方が間違っていたのだろうと軽く考えていました。
まさか、報酬自体がクリエイティビティに対してマイナスの影響を与えるという、事実があったとは!
やる気に関する驚くべき科学
http://www.aoky.net/articles/daniel_pink/dan_pink_on_motivation.htm
(引用開始)このグループはどれくらい早く問題を解けたのでしょう? 答えは、平均で3分半余計に時間がかかりました。3分半長くかかったのです。そんなのおかしいですよね? 私はアメリカ人です。自由市場を信じています。そんな風になるわけがありません。(笑) 人々により良く働いてもらおうと思ったら報酬を出せばいい。ボーナスにコミッション、あるいは何であれインセンティブを与えるのです。ビジネスの世界ではそうやっています。しかしここでは結果が違いました。思考が鋭くなり、クリエイティビティが加速されるようにとインセンティブを用意したのに、結果は反対になりました。思考は鈍く、クリエイティビティは阻害されたのです。(引用ここまで)
(引用開始)科学が見出したこととビジネスで行われていることの間には、食い違いがあるのです。この潰れた経済の瓦礫の中に立って私が心配するのは、あまりに多くの組織が、その決断や、人や才能に関するポリシーを、時代遅れで検証されていない前提に基づいて行っていること、科学よりは神話に基づいて行っているということです。この経済の窮地から抜け出そうと思うなら、21世紀的な答えのないタスクで高いパフォーマンスを出そうと思うのなら、間違ったことをこれ以上続けるのはやめるべきです。人をより甘いアメで誘惑したり、より鋭いムチで脅すのはやめることです。まったく新しいアプローチが必要なのです。
いいニュースは、科学者たちが新しいアプローチを示してくれているということです。内的な動機付けに基づくアプローチです。重要だからやる、好きだからやる、面白いからやる、何か重要なことの一部を担っているからやる。ビジネスのための新しい運営システムは3つの要素を軸にして回ります。自主性、成長、目的。自主性は、自分の人生の方向は自分で決めたいという欲求です。成長は、何か大切なことについて上達したいということです。目的は、私たち自身よりも大きな何かのためにやりたいという切望です。これらが私たちのビジネスの全く新しい運営システムの要素なのです。(引用ここまで)
上記の文章は、何らかの組織を「マネジメント」していて、そこにクリエイティビティを求めようと考えている全ての方に読んでもらいたいです。(引用部分以外にも重要な事がたくさん書かれています)
この話は同時に、創造性に関する仕事が、金銭だけでは達成できない、得られないということも示唆しています。
高いお金を払えば、素晴らしく使いやすいソフトウェアが出来上がるのか、又は素晴らしいデザインのウェブサイトを作って貰えるとか、のかというと、そうではないどころか、むしろ高いお金を払えば払うほど、出来上がるソフトやサイトは創造性に欠ける可能性がある、ということです。
もちろんこれは、安いければ安いほど良いものが得られるというわけでないという意味でもあります。金銭的な報酬は、適度な緊張感を生む為には必要だろうと思います。
そうではなく、創造性には、金銭ではなく他のものが重要だ、ということです。
重要なもの−−−それは、上記の文によれば「自主性、成長、目的」ということになるでしょう。「自主性は、自分の人生の方向は自分で決めたいという欲求です。成長は、何か大切なことについて上達したいということです。目的は、私たち自身よりも大きな何かのためにやりたいという切望です。」
「重要だからやる、好きだからやる、面白いからやる、何か重要なことの一部を担っているからやる」これが動機に繋がります。
ちょっとマネジメントの話に戻りますが、「好きだから」とか「面白いから」という事を重要視する管理職を、私はほとんど知りません。
みんな口を揃えて言うのは、「好きだからとか面白いからというのは、組織の外でやって欲しい。組織の中ではそれらは諦めるべきだ」です。
そして、「組織にとって重要なことをやれ。君は重要なことの一部を担っているのだ。やりがいがある仕事だ。」と言います。上記の項目の中に「重要だからやる」があるので、それ自体は別に良いと思います。ところが、本人にはそれがどれぐらい重要な事なのか、十分な情報を与えていないのです。
これと同様に、部下に対して「創造性を発揮せよ」と命令することは、矛盾しています。
さらにそこに「創造性を発揮したものには報酬を与える」と付け加える事は、逆効果です。
創造性は、参加する人々を楽しませた結果として生まれるものだと思います。
人は、好きなことや面白いこと、又はそれが重要だと確信したことについて、金銭などなくとも熱中します。
部下に創造性を発揮して貰う必要のある管理職の仕事は、部下をどれだけ楽しませる事ができるか、に尽きるのではないかと思う今日この頃でした。
p.s.
この話を聞いて、「そうか、もっと報酬を削るべきなのか」とだけ理解した人がいたら、間違っているのでやめてくださいねw
創造性を発揮してもらう為の報酬としての金銭は逆効果になる可能性がある、というだけで、そうではない定型的な業務には効果があるので、やみくもな報酬カットは全体のモチベーションを下げる事になるはずです。
創造性を発揮して欲しいのなら、金銭のプラスアルファではなく、別の、内的要因としての動機付けが必要だろう、ということでした。悪しからず・・・。









>部下をどれだけ楽しませる事ができるか
部下と自分の両方に当てはまりますね。 — kobapan @ 03:30PM 2009-09-09
確かに! — chikura @ 06:43PM 2009-09-12