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カテゴリー 生活・一般November 21, 2008

入場料を取る未来の書店を考える ID:1227260218 このエントリーを含むはてなブックマーク



前回の記事「書店は入場料を取って良い」にたくさんのブックマーク・コメントを頂き、追記やいろいろと考える事があったので、みんなのアイデアを元に記事のまとめと再考察をしたい。

 特に「入場料」を「払い損」と受け取ってしまう人が多いようなので、その点は特に再度説明したい。このシステムで言う「入場料」は、「プリペイド」に近い。

 また、磁気やICカードを使っての入場管理システムは「できれば」と書いたが、これはやはり必須だろう。そして、前回の記事【追記3】で書いた、入場券とポイントの併用が必要だ。

 この仕組みのそもそもの目的は、「本の内容を確認して、その場で買える」というサービスをより良く提供する代わりに、お客さんには「必ず本を買ってもらう」ようにしてもらうことだ。どれだけ居心地のいい空間を提供しても、そこで本だけ物色されて注文はAmazon、という客がいる以上、どこかで区切りをつけなければならない。リアル店舗には、「Amazonで買っちまうぞ?」というような圧力に屈するのではなく、もっと自信を持って自らの「価値」をアピールしてもらいたいという願いがある。

 コメントの中で懸念されているいくつかの指摘についても考察する。

 前回の記事をまとめると、システム的には次のようになる。

(1) 入場時に入り口で「200ポイント付き入場券」を200円で購入する。
 自販機に200円入れて「新規」を押すと、入場券1つと200ポイントがチャージされた磁気カードが出てくる。既存カードを入れてチャージも可能。

(2) 自動改札にカードを入れると、チャージされていた入場券が1つ消費される。

(3) 中ではソファやベンチに座って本の中身をゆっくり確認できる。通常の書店よりソファやベンチの数は多い。但し、すぐ1冊分を立ち読みで読めてしまうコミック類については、最初の1巻のみ1冊だけ読めるようにしておき、続きはカバーをかける。立ち読みOKは、ここで全部読みきってもらうためのサービスではない。コミックの「内容確認」は最初の1巻で充分だろう。面白いと思ったら、続きはきれいなカバーのかかった本をお持ち帰り頂くことができる。

(4) 中で買い物をする際に、先ほどチャージされた200ポイントを使って200円の割引を受けられる。と同時にカードに入場券が1枚新しくチャージされる。これで、次回の来店時は無料で入場できる。

(5) 何も買わずに出た場合、カードに200ポイントが残ったままになる。次回来店時には入場券が無いので、入り口で(1)を行うことになる。ポイントが合計で400ポイントとなり、このポイントはいずれ本を買えば払い損にはならない。

 尚、オープン時には、入場券が3個ほどチャージ済みのカードを配布するなどして初回の普及に努めるのも良いだろう。

 以下、いくつか出ている懸念に対して一つ一つ回答していく。
 理解の一助になれば幸いである。

「本を探しに来たけど無かったら払い損では、入る気になれません」

 ここは誤解を与えてしまった部分だと思いますが、(5)で分かる通り、「本を探しに来たけど無かったら払い損」ということはありません。その場では確かに200円払いっぱなしになりますが、ポイントとしてカードに蓄積されているので、いつか本を買えば回収可能です。これは最初に書いた通り、プリペイドとしての性質が強い仕組みです。

「入場料を取ると、著作権法上の貸与権との調整が必要ではないか?」

 確かにグレーな印象があります。が、著作権者から見た場合、このシステムは「最終的に必ず本を買ってもらえるシステム」です。決して好き放題に読ませるだけのものではなく、あくまで「買ってもらう為の」サービスです。本をエサに場所貸しするだけのマンガ喫茶とは全く性質が違います。むしろ、著作権者や出版社はこのシステムを支持するのではないでしょうか。出版社が「リアル書店などなくなって構わない。Amazon一極集中で構わない」と思っているのであれば、また別ですが・・・。
 
 尚、こういうことがある為、どちらかというとまだまだ著作権者の敵であるブックオフなどが同様の仕組みを作ろうとすると、おそらくご指摘どおりのトラブルが発生するかもしれません。

「入場料を払うぐらいならオンラインで買うのでは?」

 そういう人はいると思いますが、オンラインでは内容を確認することが(多くのケースで)できません。このシステムでは、心行くまで内容を確認してからご購入頂けます。また、買う事が既に決定しているのであれば、このシステム上、入場料を払う必要は無いので問題ありません。

「それってマンガ喫茶?」

 マンガ喫茶と違うのは、マンガ・コミック類は最初の1巻しか立ち読みできなくなっている点です。また、本を読みながらの飲食はできません。また、その場で本を買って帰ることができますし、本を買えば入場料は返ってきます。
 誤解して欲しくないのは、このサービスは「立ち読みで全部済ませる」事を支援するサービスではないという点です。買う前に内容を確認してもらうことができる、というサービスです。

「隣に同じサービスを提供する入場料無料の本屋が出来たら終わりですね?」

 そうはならないと思います。なぜなら、同じサービスで入場料を無料にすると、「買わないが、サービスだけ受ける」という客がはびこるようになるからです。
 一見人が入っているように見えても、売上は上がっていないという状況が起こりえます。
 
 さらに、お客さんが必ず本を買う事が分かっている側は、競争力の為にワンランク上のサービスを提供する原資を見込めます。そうなった場合何が起こるかというと、「入場料無料の本屋にふらっと入って、いい本があったら有料の本屋へ入って買う」という事が起こる可能性があります。まさに今、リアル書店とネット書店の間で起きていることです。

「近くに駐車場が有料の本屋があるが、行く気がしません」

 私の街にも同じ状況があります。駐車場有料と違うのは、時間制限がない点です。
 また、駐車場は「2000円以上のお買い上げで3時間無料」などの、割とシブい割引しかありませんが、こちらは支払った200円はポイントとして必ず還元されます。
 
 駐車場がこうなっている理由は、駐車場は人一人に対して大きなスペースを必要とする為です。土地が高い駅前などの場所では、どうしても、「お好きなだけお停め下さい」とは言えません。また、不正に何時間も停めてしまう客も出てきます。これを防ぐ為には、時間制を導入せざるを得ません。
 
 対して書店の入場料は、店内に人一人が存在する空間さえあればいいのですから、何時間いてもらってもそれほど問題はありません。ソファの数などの問題はあるでしょうが、例えばソファでいびきをかいているような人に対しては店員からそっと注意をしてもらうというような対策で充分でしょう。

「近所にも「立ち読み罰金200円」とか張り紙した書店があったが潰れた」

 お分かりとは思いますが、それは発想が全く逆で、立ち読みをさせないようにしようとしています。そうなれば潰れるのは当然、というのがこのアイデアの主張です。

「店内にAmazon端末を設置と言うが、アフィリ代ではペイしないのでは?」

 まず、店内からAmazon端末を使って購入しても、カードにチャージされたポイントは使えないという点を思い出して下さい。彼らは入場時に払った代金を、いつかはここで本を買う事で取り戻す必要があります。むしろ彼らにとっては、店内でAmazon端末を使うことこそ「ペイしない」のです。
 
 店内でAmazon端末を使う動機としては、「探したが、無かった」とか、「自分はAmazonが大好きだが、どうしても内容を確認してから買いたかった」という人でしょう。そういう人からは、アフィリエイト代金の7%を頂いた上で、200ポイントも購入(つまりプリペイド)して貰えばいいのです。Win-Winではないでしょうか。
 
 ちなみにWikipediaによれば、書店が支払う本の原価は80%だそうです。つまり利益はたった20%です。在庫リスクがない(返本システムの為)のでこうなっていますが、「棚」というリソースの消費や「注文して在庫管理する」というリスクはあります。これらが発生しないAmazonでの購入で7%の利益が得られる上にプリペイドも得られるのであれば、充分ペイように思うのですが、どうでしょうか。Amazonとの交渉によっては、ここを10%ぐらいまで引き上げる事も可能かもしれません。

 もちろん、できればここも、自前のオンライン書店を用意したいところです。そうすれば、ネットとリアルの両方で客を逃がさず美味しい商売ができるでしょう。

 実のところ私は、そのうちAmazonが弱りきったリアル店舗に向けて「Amazon提携書店」を出してくる可能性があるのではないかと考えています。そうなる前に、リアル側から「リアルの強み」をアピールすべきです。

「店内飲食可能なようにした方がいいのでは?」

 確かに、サービスとしては嬉しいと思いますが、本が汚れる可能性を考えるとあまり良い方法とは思えません。カフェなどは2Fなどに分離し、未購入の本は持ち込めないようにするなどした方が良いように思います。ただ、ここは検討の余地がありそうです。

 −−−−−−

 この記事を書く前に書こうと思っていた事を書き忘れていたので追記(タイトルに「未来」とか書いておいて忘れていた…)。

 リアル書店がネット書店に対抗する手段として、上記のようなシステムの構築と共にもう一つ提案したいのが、「ネットからリアル店舗への誘導」だ。

 つまり、iPhoneや携帯アプリとして、ISBN番号などを入れると在庫状況と本棚の場所を棚番号や地図で示してくれるソフトウェアを提供するのである。

 と同時に、PCのブラウザでもAmazonと同じような検索システムを提供する。
 目標としては、Google等で書籍名を検索した時に、せめてAmazonの下ぐらいに「[書籍名]:[地域名]の書店在庫を見る」というようなリンクが出るぐらいにSEO対策をする。いやむしろ、Googleと提携してしまうのも良い。Googleローカル検索との連動も可能だろう。

 こうすることで、Amazonなどで見たり、ブログなどで見たりした後、「じゃ、これをあそこの書店へ見に行こう」というような事が簡単にできるようにするのである。

 検索履歴は、自分のIDに関連付けて携帯やiPhoneから確認可能だ。店舗についたら、携帯が指示する棚番号や地図の場所へ行けばすぐに本へとたどり着ける。当然、店舗内に着いて改めて画面を開けば、地図と共に「お勧め書籍」も表示されている、という感じだ。

 また、携帯から目の前の棚の番号を入力すると、過去の検索・購入履歴から自動的にお勧めを表示してくれる、というサービスも面白い。お勧めが今すぐ目の前で読めるというのは凄いインパクトがある。

 これらは書店の使い勝手を向上させるサービスというだけでなく、ネットユーザーをネット書店から取り戻す働きもすることだろう。
 ユーザーは、ネットとリアル、状況に応じてより使いやすい方を選べば良いのである。

 −−−−−−−
 
 以上、様々なご意見をくれたブックマークコメントの皆さんに感謝したい。

 本来であれば、こういう仕組みを導入せずともリアル店舗がこれまで通り続いていけば嬉しい。しかし、そうも言っていられない状況のように思う。

 ひとまずこの件に関する記事はこれで終わりとするが、またブックマークコメントなどでご意見など頂けると嬉しい。
— posted by chikura @ 06:36PM | LinkMe | Comment(41) | TrackBack(0)

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