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カテゴリー 製品・サービスJuly 19, 2008

iPhoneは「インターネットマシン」ではない ID:1216436561 このエントリーを含むはてなブックマーク



■iPhoneの魅力とは?

 iPhoneを日本の携帯と比べて「使えない」という指摘が相次いでおり、それに対して「そもそも比較するのがおかしい」という批判が付くのが定番となっている。

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 個人的には携帯と比較されるのは当然だし、ソフトバンク自身がそれについて充分な説明を行っておらず、一般人にも「携帯」として売っている以上、消費者の為にもこういう比較はマスコミレベルでもっとあってしかるべきと思っているが、日本の「ケータイ」とコンセプトからして異なるものであるという指摘も頷けるものである。だから本当に悪いのは比較や指摘ではなく、ソフトバンクの売り方だろう。

 それはさておき、それでは、iPhoneの魅力とは何なのか?。
 
 ソフトバンクが言う「これは究極のインターネットマシンだ」は、私は間違っていると思う。
 
 いや、もちろんそれもあるのだが、それが真の魅力ではない。

■iPhoneは「インターネットマシン」なのか
 
 そもそも「インターネットマシン」の定義とはなんだろうか?
 パソコンと同じようにインターネットが出来る事、だろうか?
 
 iPhoneは果たしてそれが出来ているのだろうか?
 
 あの解像度でそれは無いだろう。
 そもそも、携帯としてのサイズに収まる解像度で、「パソコンと同じような」体験を求めること自体が間違っているように思う。
 
 これは携帯が持つ宿命であり、テクノロジーでどうにかなる問題ではない。「小さい」という事そのものが携帯の個性だからである。
 
 docomoの「i-mode」は、「携帯には携帯の為のUIがある」という割り切りでスタートした。最初は誰もが「今更そんな貧弱なテキストベースの画面を誰が使うのか」と思ったが、世に出てみるとこれが意外と使いやすかった。
 
 何せ、余計な飾りが少ない分、表示が速い。また、小さい画面に収まるようなレイアウトになっていて、視認性が高い。操作も片手で出来る。パソコン版のヤフオクは使えないが、携帯版のヤフオクは使える、というような人もいるだろう。デバイスの特性とソフトウェアのUIがマッチすると、使いやすさが大きく向上する。
 
 異なるデバイスには異なるインタフェースが必要だという好例だろう。
 
■iPhoneでSafariを使う意味

 こうしてみると、iPhoneでSafariを使ってネットをするというのは、実はモバイルデバイスとしての本来の使い方ではないのではないかという疑念に浮かび上がってくる。あれはあくまでも「パソコンインターネットを携帯することもできる」ものであり、より劣る代替物でしかない。
 
 「でも、外出先でYouTubeとか見れるんだよ?」
 i-mode版のYouTubeがあるのをご存知か。
 
 「Google Mapsが見れるんだよ?」
 i-mode版、iアプリ版のGoogle Mapsがあるのをご存知か。
 
 「Google MapsにはGPSで現在位置も出るんだよ?」
 iアプリ版のGoogle MapsもGPS対応である。もちろんリアルタイムに現在位置を追尾する。
 
 「でもGMailも出来るって凄くない?」 
 i-mode版のGMailがあるのをご存知か。
 
 そのいずれもが、携帯の小さな画面で片手で操作できるようになっており、使用になんの問題もないどころかとても便利に使える。
 
 そういう事実を知らずにiPhoneを「理想のインターネットマシンだ!」ともてはやしている人は、単に日本の携帯を使いこなせていないだけではないだろうか。
 
 ちなみに私の最近のお気に入りは、フルブラウザの「jigブラウザ」を使ってpodcastを聞く事である。事前にダウンロードなど不要でリアルタイムでストリーミング再生できる為、すこぶる快適だ。jigブラウザはGoogleカレンダーと連携できるスケジューラなども持っている。外出先でちょっとした用事をこなすなら、これで充分だろう。

 それでも確かに、iPhoneのSafariは日本の携帯のフルブラウザより素敵な体験を我々に与えてくれる。とは言うものの、根本的な問いとして、「外出先でフルブラウザを使うシチュエーションが、どれぐらいあるのか?」という問いは残る。
 
 先ほども述べた通り、GMailやGoogle Maps、YouTubeなど有名なサービスについては既に携帯版のUIが存在する。他に、敢えてフルブラウザを使わなければならないシチュエーションと言えば、何か調べ物をしたりとかだろうが、これは日本の携帯のフルブラウザでもそれほど困ることはない使い方だろう。
 
 iPhoneの魅力を「インターネットマシン」として捉えるのは、ちょっとズレているのだ。

■これまでになかったモバイルコンピュータ

 よし分かった、iPhoneはインターネットマシンではない。
 それではiPhoneとは一体何なのか?
 
 iPhoneとは、「全く新しいモバイルコンピューティング」である。
 
 全面液晶による表示、マルチタッチパネルによるピンチイン・アウトなどを使った入力方法、フリックを使った画面遷移、加速度センサーによる入力方法…。
 
 これは従来のコンピュータとも、携帯とも異なる新しいプラットフォームだ。「携帯できるコンピュータを作るとしたら、どんなインタフェースが使いやすいか?」を全く一から考え直して作られたものなのだ。
 
 Windows Mobileが我々に与えたものを見れば、iPhone/iPod touchの違いが際立つ。Windows Mobileは「小さなWindows」ただそれだけのものである。相変わらず「ファイル」メニューから「開く」を選択してファイルを選び、ペン先でカーソルを動かすのだ。
 
 Windows Mobileは、「デスクトップ」をそのまま手のひらに持ってきているだけなのである。
 
 それに比べてiPhone/iPod touchはどうか。最初のメニュー画面からして異なる。あれは「デスクトップ」ではなくまさに「パームトップ」を意識したインタフェースだ。
 
 画面移動を指をスライドさせる事によって行う(フリック)。
 対してWindows Mobileでは、「次へ」「前へ」のボタンを押す。
 
 どちらが小さい画面を操作する方法として優れているかは一目瞭然だろう。小さなデバイスには小さなデバイスの為のインタフェースが必要なのである。
 Microsoftが(同様のマルチタッチインタフェースを別途開発しながら)どうしてこの点に気が付かなかったのか謎だ。

■そしてApple App Store

 iPhone SDKを使っていると分かるのだが、iPhoneではSDK自体でそのようなインタフェースをサポートしている。iPhone SDKで作られたアプリは、結果的にフリップやピンチイン・アウト等を使った心地よいインタフェースを持つ事になるだろう。

 このような新しいインタフェースを、我々はまだ体験し始めたばかりだ。iPod touchや旧iPhoneは1年前から存在するが、当時はApp Storeが無かった。しかしこれからは、この新しいインタフェースを使ったアプリケーションが大量に出てくるだろう(既に出てきている)。
 
 「iPhoneで何が出来るか?」この話があまり出てこないのは別に偶然でも、皆が無知だからでもない。それは、我々がこれから体験することであり、未来の出来事だからだ。
 
 日本の携帯とiPhoneを両方持つのは、今のところベストの回答だろう。敢えて携帯を捨ててiPhoneに乗り換えるのは、失うものが大きすぎるように思う。それらは違うものであり、「乗り換える」ものではない。

 もしくは、今のところは携帯+iPod touchというのがベターかもしれない。この話でも書いている通り、肝は「マルチタッチUI+加速度センサー+Apple App Store」であり、それはiPod touchも持っているものだからである。
 
 ただ、今後ネットと連携するiPhoneアプリが増えてくると(特にプッシュ型のサービス)、やはりiPod touchでは心もとない感じはする。GPSやマイク・カメラが付いてないのもちょっと寂しい。せめてiPod touchにGPSとマイク・カメラが搭載されたものが発売されると良いのだが。

 iPhone/iPod touchによって、我々は今、新しい世界へと繋がっている。あなたなら、加速度センサー+マルチタッチ液晶パネル+ネットを使って、どんなアプリケーションを思い描くだろうか? それがそのまま我々の未来のモバイル・コンピューティングだ。
— posted by chikura @ 12:02PM | LinkMe | Comment(11) | TrackBack(0)

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