出版社などは、最悪、手持ち資産を電子化すればビジネスを続けられます。しかし、書店は一体どうすれば・・・。
書店の役割とは、「本を売る場所」だけではないと思います。むしろ「本と出合う場所」としての役割が大きいのではないでしょうか。
この「本と出合う」為の役割を、果たしてAmazonやiBook Storeが果たせるのだろうか?と考えた時、私はそう簡単には行かないだろうと思います。
もちろん、私個人に関して言えば、Amazonの「お勧め書籍」のメールは物凄く「新しい出会い」に役立っており、あとは多少の立ち読み機能さえあれば十分だと思っています。
しかし、一般の人にとっては、どうでしょう?
こう書くと反感を買うこともあるかもしれませんが、私は一般的に多くの人は「能動的に動かない」と思っています。特に日本においてはそれは顕著ではないかと。
書店へ入ること自体、「暇つぶし」が目的の事は多いのではないでしょうか。それは、店内のお客さんが、雑誌コーナーの立ち読み客がほとんどであることからも分かると思います。
その「ついで」に、なんとなく目に留まり、心に響いたタイトルの本を買って帰るような感じです。
このような流れを、iBook StoreやAmazonが提供できるかというと、もちろん有る程度は可能かもしれませんが、これまでとまったく同じユーザー層に対して、同じような効果を出すのは難しいように思います。
であれば、iBook StoreやAmazonは、どうすればいいのか?
それは「既存書店との提携、もしくはリアル書店の出店」です。
■パターン1:既存書店とAmazon or Appleとの融合
あなたは暇つぶしに書店に入り、雑誌をぱらぱらとめくります。へぇ、最近はこんな事が話題になっているんだ。ふと店内のポップに目を向けると、ベストセラー本のタイトルがデカデカと飾られています。ちょうど今雑誌で読んだ話題の本ではないですか。じゃあちょっとこれ買って帰ろうかな。今度の週末にでも読んでみよう。
本を手に取ろうとすると、ふと横に「電子書籍版:980円」と書かれています。ん? この本をそのまま買うと2000円なのに、半額以下とは安いじゃないか。説明を読むと、そこに置いてあるバーコード付きのチケットを取ってレジでお金を払えば、そのまま家に帰ってパソコンで本が読めるとあります。最新のiPadというパソコンや、Kindleという端末を使えばもっと快適だとか。
ちょうど最近、自宅に本を置くスペースがなくなってきた所でした。毎回ブックオフに売りに行くのも面倒だし、たまに読み返したくなることもある・・・そんな問題を、電子書籍なら解決してくれそうです。しかも安いし!
レジへ行くと、「iBook Store IDカードはお持ちですか?」と聞かれます。いいえ、持ってませんと答えると、今すぐお作りしますとのこと。面倒な住所・氏名の入力などもなく、スーパーのポイントカードのように、後ろに名前を記入するスペースだけがあるカードと、Appleマークの入ったUSBメモリを渡されました。そして、さっき取ってきた本のバーコードだけが印刷されたチケットを渡し、980円を支払って家に帰ります。
家に帰ると、さっきお店でカードと一緒にもらったAppleマークの入ったUSBメモリをパソコンに差します。自動的に電子ブックリーダーが起動し、バーチャル本棚が表示されます。なんと、さっき購入した電子ブックがもう、その本棚の中に並んでいるではないですか!なんだか嬉しくなってきました。
週末に読もうと思っていたけど、ちょっと何ページか読み進めてみます。ふーん、思った以上に読みやすいな・・・ページをめくる感覚も、いい感じ。でも、できればソファに座ってゆっくり読みたいよなぁ・・・。そう思っていると、画面の右側の広告スペースに、ソファでくつろぎながら電子書籍を読んでいる写真が表示されました。iPadと書いてあります。そうか、これが噂のiPadか。なんか有名人もたくさん使っているらしいな。なるほど、確かにこれなら、電子書籍を読むのにピッタリかもしれない。ビデオやインターネットも見れるらしいし、49800円なら一つ、買ってみるか・・・。
数日後、書店でいろんな本を立ち読みしながら、電子書籍版のバーコード・チケットを持っていそいそとレジへと向かうあなたの姿がありました。カバンの中にはもちろん、さっき買ってきたiPadが・・・。
■パターン2:Amazon or Appleによるリアル店舗の出店
あなたは駅構内にオープンしたAmazonの新しい書店があると聞いて、会社帰りに立ち寄ってみました。中を覗き込むと、書店というよりは、何かの展示会場・・・? 割と小さな店舗の壁一面に様々なベストセラー本のポスターが貼ってあり、その前にはサンプル本が一冊ずつ手に取って読めるようになっています。中にはサンプルが置いておらず、紹介記事とバーコードが印刷されたチケットだけが置いてあるものもあります。中央には普通の雑誌コーナーがあり、多くの客はそこで立ち読みしていますが、壁の紹介記事をぶらぶらと見て回っている人も多いようです。
あなたも一緒にぶらぶらと眺めていると、気になっていたベストセラーの新書を発見しました。ちょっとぱらぱらと中身を見てみると、なかなか面白そうです。ついでに、欲しいと思っていたアイドルの写真集のバーコード・チケットを取り、レジへ向かいます。
レジへ行くと、「印刷版をお求めですか?それとも電子書籍版ですか?」と聞かれました。良く分からなかったので聞くと、印刷版を注文した場合、後日Amazonから通常の本が届くそうです。また電子書籍版を注文した場合には、Amazon IDカードというのを発行して貰え、一緒に貰えるUSBメモリの中に入っている電子ブックリーダーソフト(パソコン用)や、Kindleという専用端末からすぐに電子書籍を読めるようになるそうです。しかも電子書籍版は、印刷版の半額以下で買えるとのこと。
一冊は新書だったので、電子書籍版として注文しましたが、もう一冊は写真集で、手元に本として欲しかったので、印刷版を注文しました。印刷版を注文すると、レジでお金を支払った後、バーコードが印刷されたレシートを渡され、隣のATMのような端末へと誘導されます。そこへレシートをかざすと、AmazonのIDとパスワードの入力を求められます。AmazonのIDは既に持っています。パスワードを入力し、送り先を選ぶと、「次の日にはお届けします」とのこと。さすがAmazon。どうやらこの端末を使うと、クレジットカードを使ってここで直接購入することもできるようです。レジで時間を食うのは面倒なので、今度からそうしよう、と心に決めました。
次の日、電子書籍版の新書を読みながら家でくつろいでいると、Amazonから例の写真集が届きました。さっそく開けてみると、ずっしりとした紙の良い感触があり、所有感が満たされます。しかし、一緒に入っていた紙の案内を見て、愕然としました。なんと、この写真集の電子書籍版だと、「写真が音声付で動く」のだそうで・・・。さらには、一年間、毎月異なるメッセージ音声付きのアイドルからのビデオが、表紙を飾るのだとか。
しまった・・完全にやられました。その場で電子書籍版を注文し(印刷版を買った人には割引があった!)、ついでにビデオ対応のKindleを注文します。もうこれからは電子書籍の時代だな・・・。よく考えたら、もう本棚に置くスペースもなかったんだよ・・・。
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いかがでしょうか?
AppleやAmazonがいくら頑張っても、人は実際には現実社会のリアルな空間に存在し、そこを移動し、集います。その場所には、やはり何らかの「役割」が残り続けるはずです。
おそらくこの話は、デジタルサイネージという文脈にもつながっていくのだろうと思いますが、もう少し緩やかな、アナログな変化が起こるのではないか、そして最終的にも、パターン1のような人のぬくもりを感じる既存書店の役割というのは、残っていくのではないかと考えています。
願わくば、既存書店側から、能動的にAppleやAmazonとの提携へ動いていって欲しいな、と思います。彼らに後ろから突然撃たれる前に・・・。
— posted by chikura @ 01:43PM | LinkMe | Comment (1) | TrackBack (0) | top↑











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